気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

オリンピックの身代金(下) - 奥田英朗

10月10日の東京オリンピック開会式にむかって、複数の時間軸が徐々に一つに重なりあいクライマックスになる構成は緊張感があり見事だと思います。主人公の東大院生の島崎とそれを追いかける刑事の落合、それに島崎の同級生で警察官僚の息子でTVマンの須賀、…

オリンピックの身代金(上) - 奥田英朗

戦後の昭和復興期に存在した大都市と農村地方の貧富の格差。東京オリンピックの開催準備で浮かれている日本人の中で、この格差に疑問を持ち始めた主人公島崎国男に自然と感情移入してしまいます。今後彼がどんなふうに国に挑んで行く事になるのか、どんな運…

狐笛のかなた - 上橋菜穂子

ファンタジーを読んだのは久しぶりです。そして、初めて読む上橋菜穂子の作品。 児童文学ということでしたが、大人が読んでも十分に楽しめる作品ですね。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ主人公・小夜の純粋でまっすぐでひたむきな心が胸…

隠し剣孤影抄 - 藤沢周平

八編の短編が収められています。どの作品にも秘剣の使い手(多くは下級武士)が出てきますが、皆人間味があって味わい深い作品になっています。 剣豪小説という感じはなく、剣技を扱っていますが、主題は家族や人の生き方を描いた小説かなと思いました。読後…

風魔(下) - 宮本昌孝

戦国時代を舞台にしたエンターテイメント。下巻でようやく小太郎が活躍する場面が増えてきて、面白さが倍増しました。小太郎と敵対する他の登場人物達との関係が、単なる善と悪という関係ではないところが良いです。最後は、ちょっとベタな終わり方と言えな…