気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

奥田英朗

ナオミとカナコ - 奥田英朗

「やがて読者も二人の“共犯者”になる」と本の紹介にある通り、ふたりの主人公ナオミとカナコに感情移入しすぎて、僕も共犯者の気分になりました。 ナオミの章では、DV夫が殺されても仕方がないとは思うものの、そんな完全犯罪なんて出来るのだろうかと心配で…

オリンピックの身代金(下) - 奥田英朗

10月10日の東京オリンピック開会式にむかって、複数の時間軸が徐々に一つに重なりあいクライマックスになる構成は緊張感があり見事だと思います。主人公の東大院生の島崎とそれを追いかける刑事の落合、それに島崎の同級生で警察官僚の息子でTVマンの須賀、…

オリンピックの身代金(上) - 奥田英朗

戦後の昭和復興期に存在した大都市と農村地方の貧富の格差。東京オリンピックの開催準備で浮かれている日本人の中で、この格差に疑問を持ち始めた主人公島崎国男に自然と感情移入してしまいます。今後彼がどんなふうに国に挑んで行く事になるのか、どんな運…

家日和 - 奥田英朗

オークションに嵌った妻の話、会社が倒産し主夫になった男の話、妻との別居で独り身を楽しむ男の話などなど、家族を扱った短編集。登場人物がどれも身近に感じられて、共感を覚えてしまいます。特に「夫とカーテン」がお気に入りですが、その他の作品どれも…

町長選挙 - 奥田 英朗

電車で読んでいて笑いをこらえるのに苦労しました。伊良部先生今回も絶好調で、周りを気にしないとんでもない言動は最高でした。 「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」「町長選挙」の4編収録。 はじめの3作品は、実在の人物をモデルにしたと明らか…

空中ブランコ - 奥田 英朗

トンデモ精神科医・伊良部のもとに訪れる患者たちの苦悩を面白可笑しく描いた短編集。前作『インザプール』よりもさらにパワーアップしているように感じます。可笑しいけど最後はほろっと来て前向きな気持ちにさせてくれます。文句なく面白い、傑作だと思い…

イン・ザ・プール - 奥田 英朗

名医とはとても思えない、そして社会適用性がゼロにちかい変な精神科医の伊良部一郎とその患者たちを描いた5つの連作短編集。どの作品も可笑しかったと同時に、読後感はなぜか暖かく良い気持ちにしてくれるそんな作品です。この精神科医の患者は、水泳中毒…