気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

ミステリー(日本)

非道、行ずべからず - 松井今朝子

江戸時代の歌舞伎の世界を題材にしたミステリー。 歌舞伎にはほとんど縁のない僕ですが、当時の芝居小屋に関わる人々が生き生きと描かれてていとても面白かったです。いわゆる主人公が居ない小説ですが、事件に関わる登場人物達それぞれの心の動きが丁寧に描…

64(ロクヨン) - 横山秀夫

県警の刑事から広報官に異動になった男の視点から描く骨太の警察小説。 前半は、マスコミ対警察、刑事部対警務部、キャリア対ノンキャリア、家庭対仕事などの対立軸のなかで主人公三上が苦しみもがき葛藤する姿が描かれます。三上の心の声が僕の心を強く揺さ…

戻り川心中 - 連城三紀彦

電子書籍(Kinoppy)で読みました。 静かで儚く美しく、そして哀しい恋愛ミステリー短編集。一人称で語られる美しい文章とストーリー、男女の心理描写に引きつけられました。 ミステリー的には「白蓮の寺」が一番でしょうか。その意外なラストに驚きました。表…

震える牛 - 相場英雄

忘れかけていた食肉偽装事件を思い出すきっかけになりました。この小説を読み終わって(4/4読了)すぐに、「BSEの全頭検査終了へ 」のニュースが飛び込んできて、とても複雑な気持ちです。 もしここに書いてるようなことが今でも実際に起こっているとすると、…

ストロベリーナイト - 誉田哲也

警察小説?を読むのは何年ぶりでしょうか。ドラマを見ていないので、なんの知識も無く読み始めましたが、最初の数ページで物語の中に入っていけて、途中でだれることなく一気に読み終えました。警視庁捜査一課の主任警部補・姫川玲子が、ビニールシートに包…

イニシエーション・ラブ - 乾くるみ

いったいどこがミステリーなんだ!単なる恋愛小説じゃないの?と思って読んでいたけど、まさか、まさかのラストでした。途中、なんか変だなーってひっかかる部分はあったけど、その真相にはまったく気がつきませんでした。完全に騙されました。映像のない文…

探偵ガリレオ - 東野圭吾

東野圭吾の探偵ガリレオシリーズの第1弾。テレビドラマ『ガリレオ』の原作です。犯人探しではなく、科学的なトリックの種明かしに比重が置かれていて、犯人を追い詰めてゆくという展開には比重が置かれていません。そこがこの作品の特徴のような気がします。…

あわせ鏡に飛び込んで - 井上夢人

井上夢人「あわせ鏡に飛び込んで」は、これまで雑誌などで発表された短編を収録した文庫本オリジナルです。それぞれの作品に作者自身のコメントが添えられているという珍しい一冊です。全部で十篇の作品が収められていますが、どれもはずれ無し佳作ぞろいだ…

すべてがFになる - 森博嗣

「森 博嗣って面白いですよ」と会社の後輩に勧められたのが、たぶん、もう一年近く前になるかな。読もう読もうと思っていたのですが、やっと読みました。最初に読むのは、いくつか候補のなかからデビュー作のこの作品と決めたのですが、正解でした。エンター…

四日間の奇跡 - 浅倉卓弥

小指を失った元ピアニストの青年と脳に障害を持った少女が遭遇する不思議な出来事を扱った「癒しのファンタジー」。東野圭吾の『秘密』と同じネタを使った作品ですが、内容も趣も全く違った作品でした。とても落ち着いた文体は僕好みですし、心理描写、会話…

秘密 - 東野圭吾

妻と小学5年生の娘を乗せたバスが崖から転落し、妻は死亡、娘は、妻の葬儀の夜、意識を取り戻す。しかし、娘の体には、死んだはずの妻の魂が乗り移っていた。妻は、娘・藻奈美として生きてゆくことに... ストーリー、心理描写、伏線、思いがけない結末などな…