2004-01-01から1年間の記事一覧
自分の息子の死(心の病→自殺→脳死)という、とても冷静にはなれないテーマをノンフィクション作家ならではの冷静な目で描いています。柳田氏があとがきで書いているように、激しい挫折感と敗北感で打ちのめされ、作家活動そのものを続けることが困難な状態…
主人公の中学一年の少年・緒方雅男の母親宛に、ある男性から五億円が遺贈されます。このことがきっかけとなって、平凡な家族に危機が訪れます。この危機を乗り越えるべく、親友の島崎と共に、2人の活躍が始まります。宮部みゆきが描く少年の物語を読んでいる…
F・P・ウィルスンの大作「ナイトワールド・サイクル」の第5作目。第4作「リボーン」で復活した「悪」とビルライアン神父の戦いを描いています。「リボーン」で「悪」が復活し、この「闇の報復」で成長を遂げ、最終章の「ナイトワールド」へと続いていきます。…
もうすでに、この小説の紹介をする時期は完全に逸しているかと思いますが、とても好きな小説なので紹介します。僕が宮本武蔵の興味をもったのは、ソフトウェア開発の本に「五輪の書」の紹介が載っていたから、というちょっと変わった理由からです。この本を…
長崎で医学の勉強をして江戸に帰ってきた若い医師の保本登は、小石川養生所で見習い医として働くことになります。幕府の御番医になるつもりで長崎へ遊学した彼には、「養生所」の勤務はとても不本意なことでした。そんな彼は、医長である「赤ひげ」に対し反…
長編もいいけど、短編も良いですね。まさに「山椒は小粒でぴりりと辛い」といった7つの作品が収められています。その中で一番好きなのは、「八月の雪」かな。片足の不自由な引きこもりの充少年が、おじいちゃんの過去を調べてゆくことで、生きる意味、生き…
ナイトワールド・シリーズ(本当は、ナイトワールド・サイクル)の第4作目。この本はとにかく、第1作目の「ザ・キープ」を読んでから、読み始めたほうが良いと思います。僕は、この「リボーン(reborn)」から読んでしまったので、後悔しています。2作目、…
僕が読んだUMLの本の中でで一番実用的だと思った本がこれ。また、ユニファイドプロセスに対応させ、各フェーズで何をやるのかも合わせて書いてあるので、オブジェクト指向設計に加え、開発プロセスのなかで、どう使っていくのかの知識も得ることができます。…
.NETの分散オブジェクト技術である「.NET Remoting」の入門者向け解説書です。Webサービスに隠れ、あまり知られていない技術かもしれませんが、パフォーマンスの要求される場面では、.NETリモーティングも選択肢の一つになると思います。日本語で書かれた.NE…
巻末の解説に『一見信じ難いが、真実は実際このとおりであったのかもしれない、と思わせるだけのパワーと作者の思い入れがある』と書かれているが、まさにその通りです。作者のパワーと思い入れでググッと高橋ワールドへ引き込まれてしまいます。曽我氏と物…
とにかく面白いの一言に尽きます。僕は、他の三国志は読んだことはありませんが、なぜ、三国志がこれほどまでに人気があるのかが分かった気がします。壮大なスケール、魅力的な登場人物、血沸き踊るエピソードの数々、最高のエンターテイメント小説といって…
なぜ、宮部みゆきの作品にこうも惹かれてしまうのでしょうか。きっと、それは、「こころ」を描く作家だからだと思います。うまく生きてゆくことができない人間がもつ悲しみ、苦しみ、悩み、迷い、そういったものを描かせたら天下一品ですね。この作品も「超…
『ビッグマネー~浮世の沙汰は株しだい』というフジテレビのドラマの原作です。といっても僕はこのドラマを見ていないので比較はできませんが、原作の出来から言って、きっと面白いドラマだったんでしょうね。「世界がまるで変わってしまう一日がある」という…
問題をどう発見し、どう解決策を見い出すのかを実例を挙げながら、ユーモアあふれる軽妙な文章でわかりやすく解説しています。与えられた問題の答えを見つけ出そうとする前に、再度、「問題」は何なのかを定義し直すことが、如何に重要かを認識させてくれる…
どんな病も直してしまうという、奇跡の力を突然持つようになった開業医のアラン。自分が素晴らしい力を得たことを知り喚起し、大勢の難病を患う人々を助けようとしますが... それには大きな代償を払うことに。とにかく、彼の小説は読み始めたらとまらなくな…
山本周五郎の代表作。「伊達騒動」といわれる伊達家のお家騒動において、極悪人の烙印を押されていた原田甲斐に対し、新しい解釈を与えており、闘い抜く人間の姿を感動的に描いたとても重厚感のある歴史小説です。ひとつの大事を成し遂げるために孤独に絶え…
本書は、ネットワークハッカー追跡のドキュメントです。天文学の研究者であり本書の著者であるクリフォード・ストール氏が勤めるバークレーにあるローレンス・バークレー研究所で、研究所の課金情報がたった75セント違っていることが、きっかけとなり、F…
戦争孤児たちが、上野を舞台に戦後の厳しい時代をたくましく生き抜いてゆく感動長編です。半村良と言えば、「黄金伝説」をはじめとする伝説シリーズが有名ですが、この「晴れた空」は、本当に同じ作者が書いたのだろうかと思わせるほど、その趣が異なってい…
オブジェクト指向モデリングの学習用書籍です。全部で13の演習問題があり、それを順番に解いてゆくことで、モデリングの力が付くような仕組みになっています。オブジェクト指向の概念とUMLについては理解しているけれど、どうモデリングしたらよいのかが分…
ナイトワールド・シリーズ(正式?には、ナイトワールド・サイクルというのだそうです)の第2弾である「マンハッタンの戦慄」は、第1段の「ザ・キープ」とはまたちがった面白さがあります。「ザ・キープ」の舞台は第2次世界大戦時のヨーロッパでしたが、「マ…
作者の熱い思いが伝わってくるような良書だと思います。この本は、様々な機器に組み込むソフトウェア(いわゆる組み込みソフト)を開発している人を主な対象読者としているようですが、ここに書いてある内容は、僕のようなPC系の開発している開発者にもほと…
生まれながらにパイロキネシス(念力放火能力)という特殊能力を持つヒロイン、青木淳子の悲しい運命を描いた名作。それにしても、最初の数ページで一気に読者を物語の中に引き込んでしまう宮部みゆきの圧倒的な筆力に脱帽です。本当に彼女(青木淳子)は、…
もし、SFファンでこの小説を読んでいない方は、是非読んでみてください。伝奇小説とSFの融合作品といった感のある作品で、とてもスケールの大きい面白い内容です。「古代の神々は宇宙から来た」という仮説を、世界各地に存在している伝承や史実をうまく組…
デザインパターンを勉強するならば、まずはこの本を読むことをお勧めします。Javaを知らなくても、C++, C#, Delphi などの言語を知っていれば、読むことが可能だと思います。それに、この本に載っているプログラムコードは、いろいろな方が、他の言語に移植…
多くのソフトウエア・エンジニアの共感を呼んだ名著の改訂版です。ソフトウェア開発が成功するかどうかは、技術力だけではなく、「人」が重要なんだと再認識させてくれる本です。また、頭の中だけで考えたソフトウェア開発手法が如何に愚かしいかも教えてく…
時々、本のページをめくらないうちから、題名と装丁をみただけで購入したくなる本があります。僕はこれを「本のほうが僕を選んだ」と考えているのですが、この「エレガントな宇宙」は、まさしくそういった本の中の一冊です。本屋の平積みにされている本の中…
「明日 レベル7まで行ってみる。戻れない?」女子高生が日記に残した謎の言葉。レベル7っていったい何? この謎が完全に僕の心を捉え、最後まで一気に読んでしまいました。ジグソーパズルのピースがひとつずつ繋がってゆき、一枚の絵が出来上がってゆくよ…
Windowsプログラミングの世界で有名な、チャールズ・ペゾルド氏が書いた本ということで、ソフトウェア開発者の視点でプログラムの動作原理が書かれているのかと思いましたが、読んでみると予想とはまったく違い、本当の意味でのコンピュータの動作原理を分か…
もし「今まで読んだ中で、一番'面白かった'お薦め小説はどれですか」と聞かれたとしたら、この本というかこのシリーズ(『ザ・キープ』は「ナイトワールド」シリーズの第一弾です)を薦めると思います。もちろん、お勧めの本は沢山ありますが、F・ポール・ウ…
ルポルタージュ形式といったらよいのだろうか、ちょっと変わった形式を採用したこの小説は、僕が読んだ宮部みゆきの作品の中では一番重い内容だったように思います。一家4人の殺害事件が徐々に徐々に解明されていくにしたがい、「家族っていった何なのだろ…