気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

2006-01-01から1年間の記事一覧

竜の柩(5) 心霊日本編 - 高橋克彦

4巻で完結したと思っていた「竜の柩」ですが、続編が出ていたんですね。残念だったのは、時間が経ってしまったため、1巻から4巻までの内容をあまり覚えていないということ。これから読む人は、必ず1巻から時間をおかずに読まれることをお勧めします。第…

夏の庭―The Friends - 湯本香樹実

『ポプラの秋』がよかったので、彼女の処女作『夏の庭―The Friends』を読んでみました。期待以上の出来で大満足です。十数カ国で翻訳出版されているのも頷けます。人が死ぬところ見てみたいという好奇心から、同じ町に住む老人を見張ることになった、小学6…

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉

1965年に朝永振一郎氏とともに、ノーベル物理学賞受賞を受賞した物理学者の自伝的エッセイ集。といっても、難しい物理学の話はほとんどないので、文系の方も気軽に読める本です。彼の少年時代から始まり学生時代、駆け出しの研究者時代、新米の大学教授時代…

陽はまた昇る

NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられたVHS開発物語。日本ビクターが開発したVHSがなぜ世界標準となったのか、開発責任者である高野鎭雄氏の活躍を中心にその軌跡を描いた感動作です。VHSの成功は、もちろん彼一人で成し得たものではありません…

男子の本懐

昭和初期に金解禁という困難な政策に取り組んだ浜口雄幸と井上準之助という二人の政治家の生き様を描いた小説。日本は、第一次大戦時に「金本位制」を停止し、その後、歴代内閣が先送りしてきた難しい金解禁をやりぬく二人のエネルギーには、ただただ脱帽す…

敗れざる者たち

前々から読もうと思っていたのですが、やっと読むことができました。評判どおりの内容でした。スポーツ選手たちの栄光と挫折を描いたルポルタージュで、昭和48年〜昭和51年に書かれた作品群です。題名は「敗れざる者たち」ですが、ここで描かれている多…

フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理とは、 x^n + y^n = z^n ※ x^n は、x の n乗の意味という式において、 n > 2 の場合には、整数解が存在しないという定理ですが、17世紀に数学者フェルマーが本の余白に、「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この…

きよしこ - 重松清

重松清の作品を始めて読みました。とても素晴らしい作品です。 吃音をもった少年のお話しなのですが、たぶん、ここ数年で一番感情移入できた本です。 喉まで出かかった言葉が、なかなか声にできない、そういった経験は多かれ少なかれ誰でもあると思いますが…

日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 - 山本七平

小松真一氏の『虜人日記』の内容を引用しながら、なぜ日本は戦争に敗れたのかについて論じた本です。 『虜人日記』では、21の敗戦の原因を述べていますが、山本氏の説明を読むことで、「ああ、なるほど」とうなずくことしきりです。 「物量、物質、資源、…

PLUTO (3)

あまりにもありふれた言葉ですが、めちゃくちゃ面白い!。第3巻では、ロボット排斥を目的とした秘密結社の活動が中心に話しが展開していきます。そして、7体ある超高性能ロボットのうちの最後の1体「エプシロン」の登場。で最後は、プルートゥの登場とま…

西の魔女が死んだ - 梨木香歩

前回読んだ、『ポプラの秋』に設定がものすごく似ていたせいか、主人公の「まい」と『ポプラの秋」の主人公、千秋がダブってしまい、中学生のまいが小学校低学年の女の子に思えてしまい、イメージを修正するの苦労しました。『ポプラの秋』が大人が読む児童…

ポプラの秋 - 湯本香樹実

小学低学年の女の子(千秋)と、千秋が住んでいるアパートの大家のおばあさんとの奇妙な日常の交流を描いた心温まるお話し。 なにより、おばあさんが、やさしい物分りのよい年寄りなんかではなく、近寄りがたい、かなりの変わり者っていう設定がイイ。挫折感…

PLUTO (2)

第2巻も本当に読み応えのある内容でした。世界に7体ある、超高性能ロボットのうち、1巻で2体、そしてこの巻でも1体(ブランド)が、謎の敵(PLUTO)に破壊されてしまいます。残されたゲジヒト、アトム、ヘラクレス、そして、まだ登場していないロボットこ…

ブレイブ・ストーリー (下) - 宮部みゆき

主人公のワタルは、旅の仲間と共に、助け、助けられながら、そして、悩み苦しみながらも、力を合わせ運命の塔を目指してゆく。歩みは遅いけれど、着実に。一方、たった一人で一直線に運命の塔を目指すミツル。手段を選ばない彼は、強力な魔法の力で多くの犠…

ブレイブ・ストーリー (中) - 宮部みゆき

主人公のワタルは、キ・キーマ、ミーナという旅の友達を得て、現世での自分の運命を変えるために、運命の塔を目指す旅に出ます。ゲーム好きの宮部みゆきが作り出す、幻界(ビジョン)は、いろいろなアイデアが盛り込まれていて楽しめます。この旅を通じ、ワ…

ブレイブ・ストーリー (上) - 宮部みゆき

「宮部みゆき」の書いたファンタジー小説、今アニメ映画で公開されているという程度の事前知識だけだったので、『ドリームバスター』や、『ICO -霧の城-』のような話しなのかな、と思って読み始めましたが、上巻は、現実世界の話が3/4を占めていていまし…

PLUTO(1)

鉄腕アトム「地上最大のロボット」が原作ということで、久しぶりにコミックを購入して読みました。浦澤直樹という漫画家が『YAWARA!』を書いた作家ということも知らずに購入したのですが、予想を上回る内容にとても満足しています。主人公は、アトムではなく…

ウェブ進化論 −本当の大変化はこれから始まる

オープンソース、Web2.0,ロングテール、ブログ、SNSなどの現在話題となっている現象を独自の視点から解説しています。この本を読むと、Webを中心としたネット革命は、始まったばかりであり、これからさらに大きな変化が起こるのだということ、…

蒲生邸事件 - 宮部みゆき

日本SF大賞受賞作。予備校受検のために状況した受験生が、ホテル火災に見舞われ、時間旅行能力のある謎の男に助けられ、二・二六事件が起こった昭和11年へ。時間旅行の能力を持った人物を主人公とするのではなく、普通の高校生を主人公にし、過去にタイム…

星々の舟 - 村山由佳

6人の家族それぞれの視点で描かれる恋の短編連作集です。不倫、兄妹の禁断の恋、いじめ、戦争体験など一つ一つが重いテーマで、考えさせられる内容です。心に突き刺さります。それぞれのお話しがハッピーエンドではなく、出口がなかなか見えない終わり方な…

.NETエンタープライズWebアプリケーション開発技術大全〈Vol.4〉セキュアアプリケーション設計編

サブタイトルは「セキュアアプリケーション設計編」となっていますが、本書の内容は、大きく2部構成になっており、第1部が、「セキュアアプリケーション設計編」、第2部が「開発環境構築編」となっています。第1部もとても役立つ内容ですが、第2部の「開発…

かまいたち - 宮部みゆき

宮部みゆきの初期の時代物4編が納められています。表題作「かまいたち」は、連続殺人犯(辻斬り)を目撃してしまったことから、事件に巻き込まれてしまう若い娘の心理描写が秀逸。僕が一番気に入ったのは最も短い話である「師走の客」。最後に救いを用意し…

Microsoft Visual Studio 2005によるWebアプリケーション構築技法

Visual Web Developer(またはVisual Studio 2005)を利用した業務アプリケーション開発を行う開発者のための技術解説本。図表も多く、基礎から丁寧に解説していますので、「Visual Studio 2005」で初めてWeb開発を行う方にもに特にお勧めです。また、既に Vis…

マーケットの魔術師【株式編】《増補版》

アメリカの株式市場で成功した15名のトレーダー・投資家達へのインタビュー記事をまとめたものです。僕には、専門用語が難しくて理解できない箇所もありましたが、とても興味深く読むことができました。トップに上り詰めた彼等も決して成功の連続ではなく…

ささら さや - 加納朋子

文庫本のカバーの絵が、男の僕が買うには、ちょっと気恥ずかしかったのですが、なかなかよかったです。 愛する夫を交通事故で喪った少女のような女性「サヤ」と赤ちゃん「ユウスケ」の周りで起こる不思議な事件を軽妙なタッチで描く、連作短編集です。 一人…

望郷と訣別を −中国で成功した男の物語

香港、中国でゼロから工場進出に成功した石井次郎氏の半生を描くノンフィクション。佐藤正明氏の本はこれで3冊目ですが、この本もめちゃくちゃ面白かった(表現が適切ではないですが)です。文庫本で加筆された終章を加えると700ページを超える大作です…

ダ・ヴィンチ・コード (下)

下巻も一気に読みました。読んでいると、頭の中に映像が浮かんできて、まさに映画向きの作品だと思います。ただ、謎解きの部分はとても込み入っていて、映画での表現は難しそう。タイトルから、下巻では、レオナルドダビンチが残した謎の解明について、もっ…

ダ・ヴィンチ・コード (上)

ルーブル美術館の館長が殺されるシーンから始まるのですが、館長は死ぬ間際に、あらん限りの気力を振り絞り、奇妙なダイイングメッセージを残します。この最初の4ページのプロローグで一気にのめりこんでしまいました。さすが、世界的なベストセラーになっ…

米内光政 - 阿川弘之

僕は戦時中の人物についてはほとんど知らないので、この小説を読んで初めて「米内光政」('よないみつまさ'と読むのだそうです)という人物を知りました。三国同盟・日米開戦に最後まで反対した海軍軍人で、首相、海軍大臣を務め、終戦工作、ポツダム宣言受…

UMLモデリングの本質

UMLを使った実践的なモデリング手法について書かれている良書だと思います。良いモデルを書くには豊富な経験が必要だと思いますが、経験の浅い開発者でも、本書を読むことによって、経験の少なさをある程度カバーできるのでは無いかと思えます。本書で扱って…