気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

小川洋子

人質の朗読会 - 小川洋子

地球の裏側で反政府ゲリラによって拉致された8名の日本人が、いつ死を迎えるかわからない状況で、人生のなかの印象的な出来事を語りだします。極限状態にいる彼らが淡々と語る物語に心打たれます。実に小川洋子さんらしい作品だと思いました。 心に残ったの…

やさしい訴え - 小川洋子

カリグラフィー作家とチェンバロ製作者という僕にとっては非日常に生きる人の日常。 そこで織りなす男女の三角関係が残酷でありながらとても静かで悲しくそして美しい。 主要人物三名と一匹(犬)が皆何かを失っているという設定が、喪失感、孤独感や不安定…

薬指の標本 - 小川洋子

収録されている「薬指の標本」「六角形の小部屋」共に小川洋子さんらしい実に不思議な雰囲気を持った作品です。二作品とも結末があるようで無い、続きを想像してしまうそんな終わり方もいいなーと思っています。 「薬指の標本」は、物や体の一部への異常な執…

世にも美しい数学入門 - 藤原正彦, 小川洋子

素数の話、円周率の話、三角数の話といった数学の話はもちろん、西洋人と東洋人の違い、日本人の美的感覚と独創性など、面白い話が沢山。 特に興味深かったのは、数学は実験科学のようなものという言葉。天才は実験を嫌がらないというのはちょっと驚き。それ…

偶然の祝福 - 小川洋子

主人公であるシングルマザーである女性作家が過ぎ去った出来事を語る連作短編集です。多くの作家さんの作品はストーリーを楽しむことに重きを置いて読んでいるのですが、小川洋子さんの作品は、その文章が紡ぎだす不思議な雰囲気を味わって読んでいます。ま…

アンジェリーナ - 小川洋子

「アンジェリーナ」「彼女はデリケート」「クリスマスタイム・イン・ブルー」「ガラスのジェネレーション」「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」「情けない週末」など、佐野元春の代表曲にのせて、小川洋子が奏でる10のちょと不思議な恋の物語。それぞれが、独…

猫を抱いて像と泳ぐ - 小川洋子

なんと言ったら良いのか語彙の少ない僕には言い表せませんが、独特の雰囲気をもったこの作品に引き込まれました。バスを改造して暮らしているチェス好きのマスターと出会い、チェス教わり、自分の居場所を見つけることができたリトル・アリョーヒンの数奇な…

ミーナの行進 - 小川洋子

数年前から「読みたい本リスト」にありながら、他の本を優先してなかなか読む機会がありませんでしたが、やっと読むことができました。 主人公の女の子が、従姉妹のミーナの洋館で暮らした一年間を綴った物語。数々のエピソード(コビトカバとの触れあい、図…

博士の愛した数式 - 小川洋子

記憶が80分しか持たない年老いた元数学者と、家政婦の「私」とその息子とが織り成す、心温まる、優しい気持ちになれるお話です。 これといった大事件はないけれど、上品な語り口が物語の中に僕を引き込んでくれました。 忙しい日々に追われている現代人に…