気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

2005-01-01から1年間の記事一覧

心とろかすような―マサの事件簿 - 宮部みゆき

宮部みゆきのデビュー作『パーフェクト・ブルー』の続編。元警察犬・マサと蓮見探偵事務所の加代子等の活躍を描く、短編集。収録作品は、「心とろかすような」「てのひらの森の下で」「白い騎士は歌う」「マサ、留守番する」「マサの弁明」の5編だが、最後…

秘密 - 東野圭吾

妻と小学5年生の娘を乗せたバスが崖から転落し、妻は死亡、娘は、妻の葬儀の夜、意識を取り戻す。しかし、娘の体には、死んだはずの妻の魂が乗り移っていた。妻は、娘・藻奈美として生きてゆくことに... ストーリー、心理描写、伏線、思いがけない結末などな…

経済ってそういうことだったのか会議

「だんご三兄弟」「ポリンキー」「バザールでござーる」などを手がけた広告クリエーターの佐藤雅彦氏と竹中平蔵氏の経済を話題にした対談集。経済学の素人の代表である佐藤雅彦の素朴な疑問(これはとても本質的な疑問なわけですが)に対し、竹中氏がとても…

It(それ)と呼ばれた子 幼年期

母親からのむごい虐待について赤裸々につづったノンフィクションです。なぜ、優しい愛情にあふれた母親が変わってしまったのでしょうか。どうして、我が子にこんなにもひどいことができるのでしょうか、信じられません。でもこの悲惨な出来事は小説ではなく…

トヨタはいかにして「最強の車」をつくったか

トップから現場まで社員21人へのインタビューで構成された本です。歴代のカローラに開発に携わった方々の生の声から、カローラがどのようにして開発されたのか、そして、トヨタの製品開発の要であるチーフエンジニア制度というものが、どういうものなのかを…

論理思考の鍛え方

マンガ「ドラゴン桜」で紹介されていたので購入しました。題は「論理思考の鍛え方」ですが、「鍛え方」を期待して読むと、ちょっと期待はずれかもしれません。この本は、小学校・中学校・東大の入学試験、公務員試験、司法試験、医学部入学試験、などの中か…

Code Complete第2版〈上〉―完全なプログラミングを目指して

読みやすく、きれいなプログラムコードを書くための様々な手法が、豊富な具体例と共に示されています。プロのプログラマーならば、絶対に読むべき本だと思います。例示される言語は、VB.NET, C, C++、Java など。残念ながらC#の記述が少ないですが、そんなこ…

だから、あなたも生きぬいて

「いじめ、自殺未遂、中卒、非行、極妻、司法試験合格」、そんな信じられない道を歩んできた女性の半生をつづった自伝。このお話しが小説ではなく、本当にあったことなんだ、ということに本当に驚きました。人間、その気になれば、やり直しがきくんだという…

火怨〈下〉―北の燿星アテルイ - 高橋克彦

本当に力強い作品です。下巻になってもその力強さは失われていません。蝦夷のたちの熱き想いがひしひしと伝わってきます。いったい彼らにどんな最後が待ち受けているのか想像しながら読み進めましたが、予想しなかった展開に驚き感動するとともに、ラストシ…

投資戦略の発想法

4年前に出版されベストセラーになった本です。いわゆる「一般の個人投資家をあおる株式必勝本」とは一線を画する本であり、かなり異色の投資本だと思います。本の目次から、いくつか抜粋していみますと「うまい儲け話はすべて詐欺だ」「資産の一覧表をつく…

火怨〈上〉―北の燿星アテルイ - 高橋克彦

大和朝廷と蝦夷との戦いを蝦夷側から描く歴史小説です。心躍る小説とはまさしく、この火怨のような小説を言うのだと思います。とにかく、アテルイをはじめとする蝦夷たちの若者が生き生きと描かれ、ぐいぐいと引き付けられてしまいました。ちょっと三国志に…

独習C#

C#の文法書です。GUIコンポーネントに使い方とか、Webアプリを作成するときに必要になるテクニックとか、データベースのアクセスの仕方、といった説明は一切ありません。そのため、とにかく画面を作成してプログラムを動かしたいという方には向いていないか…

ジェットエンジンに取り憑かれた男〈下〉

戦後のジェットエンジンの開発の歴史が克明に描かれています。人間ドラマとしてみると、この作品は物足りなさを感じますが、それでも、ジェットエンジンに取り憑かれた男たちの熱い思いというものが伝わってきます。特に、開発の中心人物の一人である永野氏…

ジェットエンジンに取り憑かれた男〈上〉

題名の通り、ジェトエンジンの開発に心血を注いだ技術者たちの物語(ノンフィクション)です。上巻は、第二次世界大戦の真っ只中、日本初のジェット機「橘花」とそのエンジン「ネ20」を開発した技術者達の物語です。終戦が迫った厳しい状況の中で、エンジン…

アジャイルソフトウェア開発の奥義

この本、随分前に読み始めたのですが、やっと読み終わりました。ページ数が700ページもある上に、内容もじっくり読まないと理解できない部分が多く、時間がかかってしまいました。その間にかなりの本に浮気してしまったのも原因ですが。。。とのかく、こ…

長い長い殺人 - 宮部みゆき

「短編小説」を連ねて行き一つの長編にする、という構成を取っている推理小説です。まあこの部分は宮部みゆきの得意とするところですが、物語の語り手が、なんと「財布」なのです。これはかなり異色ですね(僕は無機物が語り手になっている作品を読んだのは…

事実の読み方

人はある出来事を理解する際に、多かれ少なかれ必ず予断が入り込むものです。この予断を排し、事実を見るには何が必要なのか、大切なことを見落とさないためにはどうすればよいのかを考える機会を与えてくれる、そんなエッセイ集です。ここで語られる事件や…

.NETエンタープライズWebアプリケーション開発技術大全〈Vol.3〉ASP.NET応用編

シリーズの三冊目。ASP.NETの応用編です。特に、状態管理についてとても詳細に説明しています。この本の素晴らしいところは、単に機能の説明ではなく、システムの運用形態との関連をきちんと説明し、どういった場面では、どのような技術を使うのが良いのかを…

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

息子から借りて読んだ本です。息子も友達から借りたということです(又借りですみません)。・スーパーの完売御礼でわかる「機会損失」と「決算書」・飲み会のワリカンでわかる「キャッシュ・フロー」・住宅街の高級フランス料理店でわかる「連結経営」・2着…

ぼんくら(下) - 宮部みゆき

ぼんくらの下巻は、事件の謎が少しずつ少しずつ解き明かされていくのですが、読み出したら止まりませんでした。江戸人情物としても、ミステリーとしても楽しく読めました。個性豊かな登場人物たちも、とても生き生きと描かれており、さすが宮部みゆきという…

ぼんくら(上) - 宮部みゆき

江戸、深川の鉄瓶長屋で起こるちょっと変わった事件の謎を、ぼんくら同心・平四郎と美少年の甥・弓之助が探るミステリー。この本の目次を見ると上巻は、「殺し屋」「博打うち」「通い番頭」「ひさぐ女」「拝む男」「長い影(一〜六)」、下巻は「長い影(七…

算学奇人伝 - 永井義男

「算学」とは江戸時代に発達した和算のことです。「江戸時代を舞台にした斬新な数学ミステリー」という本の帯の通り、ミステリー好きにも、数学好きにも楽しめる一冊です。ところどころ、図や表で算学問題の問題や解説があるなど、僕が読んだ小説の中ではか…

大学教授の株ゲーム

経済学者と数理工学者の2人が、日本の株式相場に臨んだ実践記です。実際に売買した時期は、1988年ということでいささか古いですが、大学教授の2人が、どのようなことを考え、どのような基準で株売買をしたのか、その過程が説明されているので、とても…

深い河 - 遠藤周作

遠藤周作の本を読んだのは何年ぶりだろうか。僕が、十代〜二十代にかけてかなりの作品を読んだものです。遠藤氏の純文学に分類される小説はあまりにも重いテーマを扱っているものが多く、しばらく敬遠していましたが、久しぶりに読んでみて、当初思っていた…

頭がよくなる数学パズル

数と図形を扱うパズルを100問集めた本です。この本に出てくる問題の多くは小学校の算数の知識で解ける問題です。でも、なかなか手ごわい問題が多く、ひらめきと根性が必要な問題ばかりです。頭の体操に持って来いの本だと思います。パズル好きの人は、既にこ…

大事なことはすべて盛田昭夫が教えてくれた

ソニーを世界企業に育てたあげた盛田昭夫氏の素顔に迫る一冊。ウォークマンの開発プロジェクトのリーダを務めた著者だからこそ描ける盛田昭夫氏の様々なエピソードを知ることができます。盛田昭夫という人の魅力を存分無く伝えてあると思います。この本の最…

すぐそばの彼方 - 白石一文

代議士である父親の秘書を務める主人公の柴田龍彦は、心に傷を持ち、そのダメージからなかなか立ち直れないでいます。しかし、ある父親の政権抗争に巻き込まれることで、徐々に自分を取り戻して行くのですが、人生最大の選択を迫られることになります...主人…

スナーク狩り - 宮部みゆき

息子が「何か面白い本はない?」と言ってきたときに、息子に渡した本がこの「スナーク狩り」。以来、息子も宮部みゆきの本を読むようになりました。この本、出だしが最高に良いですね。散弾銃を隠し持ち、ホテルの披露宴会場へ向かう若い女性。この冒頭の部…

.NETエンタープライズWebアプリケーション開発技術大全〈Vol.2〉ASP.NET基礎編

「開発技術大全」という名称からは、なにやらとても難しそうな印象を受けますが、Webアプリケーション開発の基礎をとても丁寧に解説していますので、これから、ASP.NETで開発を開始する方のオススメです。この本の特徴は、プログラミングのためのハウツー本…

天才数学者、株にハマる 数字オンチのための投資の考え方

ワールドコムの株で大損した数学者の著者が、数学的な切り口で株の投資理論(?)を紹介してくれます。「天才数学者に株にハマる」という題からは、気軽に読める本かと思ったのですが、そうではなく、かなり頭を使って読まないといけない本でした。とはいっ…