気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

藤沢周平

孤剣―用心棒日月抄 - 藤沢周平

用心棒日月抄シリーズ2作目。今回も面白かったです。 1作目は忠臣蔵と絡ませて話が進む嗜好を凝らした内容だったけど、今度の作品は又八郎と佐知との静かな恋も絡ませ、娯楽性をより前面に押し出した感じです。 藩の重要な密命を受けていながら、明日の飯の…

用心棒日月抄 - 藤沢周平

約2年ぶりに読む藤沢作品。面白い! 訳あって脱藩し江戸で用心棒をして生活する青江又三郎の活躍を描いた連作時代小説。ところどころにユーモアを交えた語り口が実に読みやすい作品でした。 忠臣蔵と絡めることで徐々に緊張が高まっていくのも素晴らしいと思…

時雨のあと - 藤沢周平

江戸時代の下級武士や市井の人々を描いた7つの短編小説が収められています。 その中でもミステリー風味の「闇の顔」が一番長い作品だけあって、とても読み応えがありました。最後に殺人犯が誰だかわかった時には、その意外さに唸ってしまいました。 その他、…

闇の傀儡師 (上下巻) - 藤沢周平

ひょんなことから公儀隠密から松平家へ密書を託された剣の達人・鶴見源次郎が、政争に巻き込まれてゆく伝奇時代小説。 上巻は、将軍徳川家の世継ぎをめぐって暗躍する組織八嶽党との対決が見所です。 主人公・源次郎と八嶽党がとんな対決をし決着を付けるの…

隠し剣秋風抄 - 藤沢周平

1年前に読んだのですが、ここにアップするのを完全に忘れてました。『隠し剣孤影抄』に続く“隠し剣”シリーズ第二弾。九篇の作品からなるこの短編集は、『隠し剣孤影抄』に負けず劣らず面白かったです。隠し剣秋風抄 (文春文庫)作者: 藤沢周平出版社/メーカー…

隠し剣孤影抄 - 藤沢周平

八編の短編が収められています。どの作品にも秘剣の使い手(多くは下級武士)が出てきますが、皆人間味があって味わい深い作品になっています。 剣豪小説という感じはなく、剣技を扱っていますが、主題は家族や人の生き方を描いた小説かなと思いました。読後…

花のあと - 藤沢周平

『鬼ごっこ』、『雪間草』、『寒い灯』、『疑惑』、『旅の誘い』、『冬の日』、『悪癖』、『花のあと』が収録された藤沢周平の短編集。表題作『花のあと』は、淡い初恋と仇討ちを織り交ぜた作品。主人公「以登」の女性らしい心と凛とした強い意志に感動しま…

暁のひかり - 藤沢周平

江戸の市井の人々の哀しい切ない話を収めた短編集。いちばん心に残ったのは、表題作の「暁のひかり」。一生懸命に歩く訓練をしている足の悪い少女に出会ったことで、少しづつ堅気な気持ちになってゆく博徒の市蔵。しかし、その少女をからかっている悪党を懲…

蝉しぐれ - 藤沢周平

なんという無駄のない、隙のない、そして上品な文章だろうか。この本を読み始めて感じた感想です。始めは淡々と物語が流れて行き、文章を楽しみながら読み進めました。後半はスピード感あふれる息もつかせない展開になり、映画を見ているような感じ。そして…