気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

科学の扉をノックする

科学って本当に面白い、そう感じさせてくれる本です。なによりも「博士の愛した数式」の著者として有名な小川洋子さんが、科学に興味をもち、そして驚き、感心し、楽しんでいる様子が、読んでいるこちらにも伝わってくるところが素晴らしいです。
この本は、様々な分野の科学者・研究者のところを訪れ、見学、インタビューする形式で、全部で7章からなっています。
どの章も面白かったのですが、細胞性粘菌の研究者・竹内郁夫氏の章が特に興味深かったです。生命って本当に不思議です。
この本によれば、粘菌は子孫を残す際には、ばらばらだった個々の粘菌が10万個ぐらい集まって1〜2ミリぐらいのナメクジみたいなものになり、胞子を出すのに都合の良い場所を探して、移動するらしいです。細菌ていうくらいだから脳はないわけでしょ。どうしてそんなことができるんでしょう。実に不思議です。そして、地面に固定する菌と、茎のようになる菌、胞子を出す部分になる菌とに自発的に別れるっていうのも不思議。DNAにそのような行動がプログラミングされているということなんでしょうが、このような生命を生み出した自然というのは本当に偉大だと思います。

その他の章もどれも、興味深いものばかりでした。最後の章は、阪神タイガースのトレーニングコーチ続木敏之氏へのインタビューなので、純粋な学問としての科学ではありませんが、日本のプロ野球も想像以上に科学的トレーニングをしていることを知ることができ、収穫でした。

科学の扉をノックする

科学の扉をノックする