気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

心とろかすような―マサの事件簿 - 宮部みゆき

宮部みゆきのデビュー作『パーフェクト・ブルー』の続編。元警察犬・マサと蓮見探偵事務所の加代子等の活躍を描く、短編集。収録作品は、「心とろかすような」「てのひらの森の下で」「白い騎士は歌う」「マサ、留守番する」「マサの弁明」の5編だが、最後の「マサの弁明」はオマケみたいなものなので、実質的には4編。とても平易な文章なのですが、扱っている内容はとても重いものばかり。イヌが語り手であることが、この心痛める事件をうまく中和してくれていると思います。それぞれ読み応えがある作品ですが、特に良かったのは、「マサ、留守番する」かな。現代社会が抱えている問題を鋭く描いていています。