気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

継ぐのは誰か?- 小松左京

若い頃はSF小説ばかりを読んでいて、小松左京は大好きな作家の一人でした。『継ぐのは誰か?』は読むのは2度目であり、久しぶりにSFらしいSFを読んだという気がします。
年代設定は、地球上から戦争が途絶えてから久しい時代ということなので、たぶん21世紀後半くらいを想定していたのでしょうか。この作品に出てくる技術を考えると、彼の持つ先見性はさすがだなと思いますが、当時としては夢のような技術も、その多くがすでに実現してしまったことを考えると、今となっては、物足りなさも感じますが、それはSF小説の宿命であり仕方ないことでしょう。
一つ注文をつけるとすれば、後半の新人類の秘密を解き明かす部分は説明が多くちょっと閉口。ストーリーの流れを止めてしまうように思います。登場人物が「語る」という形ならばもっと物語の中に入ってゆけるのかなーと感じました。
それでも、小松左京の世界を久しぶりに堪能できて満足です。

継ぐのは誰か? (ハルキ文庫)

継ぐのは誰か? (ハルキ文庫)