気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

疾走 - 重松清

まさに「衝撃作」という言葉がぴったりの小説でした。
一度狂ってしまった歯車は元に戻すことはできないのか、そんな疑問を抱きながらこの本を読み終えました。
少年少女達の前に起こるあまりにも悲惨な出来事の数々。これを乗り越えることのできる子供達なんかいるのだろうか、大人だって堕ちてゆくしかないと思います。
それにしても、「こうあってほしい」という読者の願いをことごとく裏切り続けるストーリーは、逆説的ですが圧倒的な力を持っています。ただ、最後はもう少し救いのある終わり方にして欲しかったと思うのは、僕だけではないと思います。
ああいう結末にせざるを得なかったのだと思いますが、あまりにも哀しく心の痛むラストで、重苦しい余韻を残します。
人とのつながり、家族とのつながり、生きてゆくことの大切さを改めて思わずにはいられません。

疾走 上 (角川文庫)

疾走 上 (角川文庫)