疾走 - 重松清
まさに「衝撃作」という言葉がぴったりの小説でした。
一度狂ってしまった歯車は元に戻すことはできないのか、そんな疑問を抱きながらこの本を読み終えました。
少年少女達の前に起こるあまりにも悲惨な出来事の数々。これを乗り越えることのできる子供達なんかいるのだろうか、大人だって堕ちてゆくしかないと思います。
それにしても、「こうあってほしい」という読者の願いをことごとく裏切り続けるストーリーは、逆説的ですが圧倒的な力を持っています。ただ、最後はもう少し救いのある終わり方にして欲しかったと思うのは、僕だけではないと思います。
ああいう結末にせざるを得なかったのだと思いますが、あまりにも哀しく心の痛むラストで、重苦しい余韻を残します。
人とのつながり、家族とのつながり、生きてゆくことの大切さを改めて思わずにはいられません。
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/05/25
- メディア: 文庫
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