気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

晴れた空 - 半村良

戦争孤児たちが、上野を舞台に戦後の厳しい時代をたくましく生き抜いてゆく感動長編です。
半村良と言えば、「黄金伝説」をはじめとする伝説シリーズが有名ですが、この「晴れた空」は、本当に同じ作者が書いたのだろうかと思わせるほど、その趣が異なっています。
とにかく面白く(面白いという表現はあまりにも陳腐ですが)、物語の中に引き込まれて行き、いつの間にか、登場人物たちと一体になって、苦しみ、喜び悲しんでいる自分がいました。

いつかまた読み直したい、と思う小説が僕には何冊かありますが、この「晴れた空」は、そんな中の一冊です。心に深く深く残る半村良渾身の名作だと思います。
この本を読んだのは、もう10数年前ですが、いったい、半村良は、どんな思いで、この「晴れた空」という題名をつけたのだろう、読み終わってずーっと考えていたことを今でも思い出します。

晴れた空 (上) (祥伝社文庫)

晴れた空 (上) (祥伝社文庫)