気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

黒い風

僕の大好きな「ナイトワールドサイクル」シリーズを書いたFポール ウィルスンによる日本を舞台にした伝記ロマン。「隠れた貌」という謎の宗教結社が不思議な嵐「黒い風」を使い、軍部とともに太平洋戦争でアジアを支配しようと企てます。恐るべき秘術「黒い風」と近代兵器の決戦が始まります。
真珠湾攻撃、原爆投下など史実の間に、彼の創作をうまく挿入させ、歴史に新たな解釈を加えていて、単なるホラーに終わっていないところが良いですね。最後の原爆投下にいたるシーンは心に残ります。ナイトワールドサイクルとは違い「人の心」を深く描いていると思います。
それにしても、日本人が書いたんじゃないかと思うほど、良く日本のことを調べていますね。訳者の方の力量もあるのでしょうが、日本人が書いた小説を読んでいるようで、びっくりしました。

黒い風〈上〉 (扶桑社ミステリー)

黒い風〈上〉 (扶桑社ミステリー)