気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

逃亡くそたわけ - 絲山秋子

21歳の学生で自殺未遂をはかり精神病院に入院させられていた躁病の「花ちゃん」は、鬱病の「なごやん」を無理やり誘い病院から脱走する。二人は、なごやんの車で九州縦断の目的地の無い逃避行の旅に出る。
『海の仙人』のときもそうだったが、面食らうくらいの出だしだ。それが彼女「絲山秋子」の持ち味なのだろう。それで一気に物語の中に吸い込まれる。
それと主人公の方言もとても効果的だ。とてもテンポの良い文書で、読んでいて実に小気味いい。
躁鬱という題材を扱っていながら、読後感は実に明るく爽やかだ。2人の登場人物が苦しみながらも精一杯生きているのが伝わってくる。
おすすめの本です。

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

逃亡くそたわけ (講談社文庫)