気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

模倣犯 5 - 宮部みゆき

最終巻は一気読みです。

やはり由美子にはああいう最後が運命付けられていたんですね。これ以上の犠牲者が出てこないことを願っていたのに。

それにしても、この事件の幕を引いたのが、警察でもなく有馬義男でもなく、伏兵の前畑滋子だったのには驚きました。タイトルの模倣犯いう意味もわかってすっきりです。なるほどそう来たかという感じです。前畑滋子は、覚悟を決めて強くなりましたね。これまでの空回りの数々を帳消しにしました。

それでもやはりこの小説で一番心に残った人物は有馬のおじいさん。常に気丈だった有馬義男が最後に言う「終わってなんかいねえよ。鞠子を返してくれよ」という嘆きの言葉が心に突き刺さります。何遍も彼の叫びが頭の中を駆け巡りました。

 

模倣犯〈5〉 (新潮文庫)

模倣犯〈5〉 (新潮文庫)