気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

2006-01-01から1年間の記事一覧

いちばん初めにあった海 - 加納朋子

本書は表題作「いちばん初めにあった海」と「化石の樹」の2編から構成されています。全く関係のない話かと思ったら、途中でこの二つの物語が連作になっていることに気がつきました。「いちばん初めにあった海」で明かされなかった謎(?)が「化石の樹」で…

魔術はささやく - 宮部みゆき

宮部みゆきの他の作品もそうですが、この作品も謎が解けてから、本当に書きたかった(と思われる)もう一つのドラマが用意されています。この2つめのドラマに心が揺さぶられます。登場人物の背景設定、いくつもの伏線、とにかく良く練られた作品だと思いま…

地下街の雨 - 宮部みゆき

表題作「地下街の雨」をはじめ「決して見えない」「ムクロバラ」「さよなら、キリハラさん」など七つの短篇集。宮部みゆきにしてはめずらしくホラー的な要素が強い作品もあります。僕が好きなのは、表題作の「地下街の雨」。都会の片隅で生きている女性の心…

博士の愛した数式 - 小川洋子

記憶が80分しか持たない年老いた元数学者と、家政婦の「私」とその息子とが織り成す、心温まる、優しい気持ちになれるお話です。 これといった大事件はないけれど、上品な語り口が物語の中に僕を引き込んでくれました。 忙しい日々に追われている現代人に…

返事はいらない - 宮部みゆき

宮部みゆきの短編集「返事はいらない」は、数年前一度読んだのですが、再度読み直してみました。人間の記憶ってほんとあやふやなものですね。すっかり内容を忘れていました。唯一、「ドルネシアへようこそ」が僅かながら記憶にありましたが、それでも、ラス…

ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ

ソフトウェア開発における真実とウソについて論じた書籍。現場の開発者ならばほとんどの人が、納得できる内容になっているのではないだろうか。とにかく、現場の開発者の視点から物を言っているのがよい。ソフトウェア開発者全員に読んでもらいたい本である…

いちずに一本道 いちずに一ツ事

書家「相田みつを」の自伝エッセイ。相田みつをの言葉がなぜ、心の奥に響き渡るのか、このエッセイを読むとその理由の一端を知ることが出来るような気がします。頭の中だけで考えた言葉ではなく、全てが、自分自身の体験から来ている言葉なのだと。題名にも…

四日間の奇跡 - 浅倉卓弥

小指を失った元ピアニストの青年と脳に障害を持った少女が遭遇する不思議な出来事を扱った「癒しのファンタジー」。東野圭吾の『秘密』と同じネタを使った作品ですが、内容も趣も全く違った作品でした。とても落ち着いた文体は僕好みですし、心理描写、会話…