敗れざる者たち
前々から読もうと思っていたのですが、やっと読むことができました。
評判どおりの内容でした。
スポーツ選手たちの栄光と挫折を描いたルポルタージュで、昭和48年〜昭和51年に書かれた作品群です。題名は「敗れざる者たち」ですが、ここで描かれている多くは敗れ去っていった人たちの話です。
その世界の頂点に上りつめた人、あるいは、もう少しで手が届くところまで行った人たちが、もがき苦しむ姿になんとも言えない哀しさ切なさを感じると同時に、彼等も自分と同じく弱い人間なんだということを痛感させられます。
サクセスストーリーだったら、これほど心を揺さぶられることはないと思います。
ボクサー「カシアス内藤」を描いた『クレイになれなかった男』ではこんな文章で締めくくられています。
「人間は、燃え尽きる人間と、そうでない人間と、いつか燃え尽きたいと望み続けつ人間の3つのタイプがあるのだ。... 望みつづけ、望みつづけ、しかし”いつか”はやってこない。内藤にも、あいつにも、あいつにも、そしてこの俺にも・・・」
この文章が僕の胸に突き刺さりました。僕もいつかは燃え尽きることができるのだろうか...
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1979/09/25
- メディア: 文庫
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