気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

2015-01-01から1年間の記事一覧

模倣犯 5 - 宮部みゆき

最終巻は一気読みです。 やはり由美子にはああいう最後が運命付けられていたんですね。これ以上の犠牲者が出てこないことを願っていたのに。 それにしても、この事件の幕を引いたのが、警察でもなく有馬義男でもなく、伏兵の前畑滋子だったのには驚きました…

模倣犯 4 - 宮部みゆき

この物語が犯人逮捕劇や謎解き物では無い事に今更ながら気がつきました。 読者が事件の真相を知っているからこそ、事件に巻き込まれた人々の行動や心の動きに、共感したり、悲しんだり、疑問に思ったり、歯がゆく思ったり、といろんな感情が沸き上がって来ま…

マイ国家 - 星新一

ロボット、宇宙、ファンタジー、刑事、恋愛、ビジネスなどなど様々なジャンルの31編ものショートショートが収められています。どれも面白い。 自分を売り込むロボットの話「うるさい相手」、言い訳の天才が出世してゆく「いいわけ幸兵衛」、刑事のまねをして…

非道、行ずべからず - 松井今朝子

江戸時代の歌舞伎の世界を題材にしたミステリー。 歌舞伎にはほとんど縁のない僕ですが、当時の芝居小屋に関わる人々が生き生きと描かれてていとても面白かったです。いわゆる主人公が居ない小説ですが、事件に関わる登場人物達それぞれの心の動きが丁寧に描…

模倣犯 3 - 宮部みゆき

第2巻に続いて、事件を起こした側からの視点で物語が進みます。後半の和明とヒロミの絡みは、実に読み応えがありました。 「誰かに向かって手を広げ、僕がついているよ、一緒なら大丈夫だよと声をかけた瞬間に、 人間は、頼られるに足る存在になるのだ。最初…

模倣犯 2 - 宮部みゆき

うーん、そう来ましたか。 1巻で起こった殺人事件を、今度は犯人側の視点で描いています。とにかく冗長と思えるくらい事件関わる人たちの行動と心の動きを丁寧に詳しく描いています。けど、決して退屈という訳ではなく、ぐいぐいと先を読ませます。単なる犯…

模倣犯 1 - 宮部みゆき

読みたい本リストに長年あった作品です。文庫本5巻という長さに、読むのを先延ばしにしていましたが、やっと重い腰を上げて読み始めました。そして、すぐに物語の中に引き込まれました。 スピード感はありませんが、とても丁寧な描写で登場人物達の心の動き…

平凡 - 角田光代

ある程度の年齢を重ねると「もし、あの時ああしていれば、今は別の人生があったんじゃないか」そんなことを想像してしまう事って、誰でもあるんじゃないでしょうか。そんな男女を主人公にした6つの短編が収められています。 でもその別の人生が果たして自分…

ペテロの葬列 - 宮部みゆき

約1年ぶりに読む宮部みゆきの作品。 「名もなき毒」を飛ばしてこの本を読みました。読んでよかった。ぐいぐいと物語の中に引き込まれました。 マルチ商法、詐欺商法を題材にしたこの作品は、普通の人々にも「悪は伝搬していく」という重いテーマを丁寧に丁寧…

No.6 #9 - あさのあつこ

ついに完結。第一巻を読んだのが 2011/1 ですから、なんと4年かけての読了です。 イヌカシと力河がネズミと紫苑の脱出を待つシーンは読み応えがありました。聖都市「No.6」の最後はちょっとあっけなかったけれど、組織が崩壊する時は意外とそんなものなのか…

日本アパッチ族 - 小松 左京

小松左京の処女長編。 戦後間もない大阪で、鉄を食べる人種が現れるという奇想天外なSF。アパッチ族と名乗る鉄を食べる彼らが独自の自治を主張したことで、日本政府はその殲滅に動き出します。この対立はやがて日本国の存亡に関わる大きな戦いへと発展して行…

風の中のマリア - 百田尚樹

オオスズメバチの働きバチを主人公にした擬人化小説。 働き蜂(ワーカー)である主人公のマリアの一生を通じて、オオスズメバチの驚くべき生態を見事に描いていいます。この本を読むと専門書を読まなくてもオオスズメバチのこと良く知る事ができます。なぜ、…

アイ・アム I am. - 菅浩江

文庫本で150ページほどの短い話ですが、奥が深いです。 舞台は近未来のホスピス病院。ここで介護ロボットとして働くミキが、次第に「自分はいったい何者か」と疑問を抱くようになり、介護を続けながら自分探しをする物語です。 生と死、人間としての尊厳につ…

キサトア - 小路幸也

優しい気持ちになれる大人が読むファンタジー。 朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る不思議な双子の姉妹キサとトアの名前が題名になっているけど、主人公は二人の兄のアーチ。 キサとトア二人を題名にするならば、もっと二人の不思議な症状の謎を掘り下げて欲し…

一人っ子同盟 - 重松清

久しぶりに読む重松さんの作品。 昭和40年代の子供達を主人公にした物語。ここに出てくる3人の子供達(ノブ、ハム子、オサム)は、家庭の事情などで、自分の力ではどうにもならない事を抱えており、悩みながら生きています。とにかく真っ直ぐなノブ、素直に…

2014年に読んだ本のまとめ

2014年に読んだ本をまとめてみました。 心に残った本ベスト5です。 1. ふくわらい - 西加奈子 2. 修羅走る 関ヶ原 - 山本兼一 3. トオリヌケ キンシ - 加納朋子 4. 親鸞(上)(下) - 五木寛之 5. 64(ロクヨン) - 横山秀夫 その他、以下の作品も心に残りました…